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この秋、ついにスプラッタ・ブームが到来!? その日本代表とも言うべき『MEATBALL MACHINE』の山口雄大監督と西村喜廣特技監督によるスペシャル対談が実現。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭などですれ違いつつも、いざ対面するやスプラッタという共通言語によりすぐに意気投合したという二人の記念すべき初の共同作業はいかに? スプラッタ映画と特殊メイクの未来についてまで濃縮100%の内容でお届けします。
「MEATBALL MACHINE」
【監督】山口雄大・山本淳一
【脚本】加藤淳也
【クリーチャー・デザイン】雨宮慶太
【特技監督】西村喜廣
【出演】高橋一生/河井青葉/山本彩乃/川崎賢一/諏訪太朗/増本庄一郎/手塚とおる
【解説】
何処からかやって来た、謎の生命体。“共食い”を生存目的とするヤツらは次々と人間たちを血祭りにあげ、そして、寄生する。その瞬間から人間は、バトル・モンスター“ネクロボーグ”へと変貌! 彼らに残された道は、ただひとつ――自らの命が果てるまで、スプラッター・バトルを繰り広げるのだ!!
監督は『魁!!クロマティ高校THE★MOVIE』の山口雄大。オリジナル版監督:山本淳一とともに“最強&最凶タッグ”を組み、特定のジャンルにまったく捉われない“これまでの日本映画にはなかった衝撃作”を誕生させた。
モンスター“ネクロボーグ”のクリーチャー・デザインを『ゼイラム』『牙狼<GARO>』などの鬼才・雨宮慶太が担当。また、特技監督を『自殺サークル』『恋する幼虫』の西村喜廣が担当している。
主人公・ヨウジを演じるのは、『スウィング・ガールズ』『怪奇大家族』の高橋一生。また、ヨウジが好意を抱く女性・サチコには、『ともしび』『ガールフレンド』で主演を務める河井青葉。さらに手塚とおる、諏訪太朗、増本庄一郎など名優達が脇をしっかりかためている。
【公開情報】9月23日、シアター・イメージフォーラムにてレイトショー公開!!
【製作】キングレコード
【配給】バイオタイド
(2005年/カラー/90分/日本/ビスタサイズ c2005キングレコード)
『MEATBALL MACHINE』公式HP http://meatballmachine.jp

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<スプラッタで意気投合!>
Q:これまでにお互いの作品はご覧になっていましたか?
山口:『自殺サークル』(2002)は観てましたね。あと『恋する幼虫』(2003)も。
西村:僕は観てないです。基本的につくり物が出てなかったので……。
山口:ありましたよ、つくり物。でも西村さんは基本的に血が出ない映画は観ないんですよ、スプラッタ映画しか観ない。僕もスプラッタは大好きですけど自分では作っていなかったので。
西村:僕は山口監督がスプラッタ好きだとも知らなかったですから。
Q:山口監督のスプラッタ作品としては『プレゼント』(2005『楳図かずお
恐怖劇場』一編)が初めてですよね? ギャグらしいギャグが全く入っていなかったので逆に驚きました。
山口:「やればできるんだな!」と思いました?(笑)『VERSUS』(2000)もスプラッタ・シーンはほとんど僕が担当してたんですよ。ただ、好きなんだけどそれをストレートに出せないというちょっとひねくれたところがあって……コメディでしばらくいきたいなと思ってたんですけど、やってみたら制約はいっぱいあったけど面白かったんです。それでまたやりたいなと思っていた頃に西村さんと会って。
Q:『MEATBALL MACHINE』で初めての共同作業はいかがでしたか?
山口:最初は僕は監修という形で関わっていたんです。もともとは共同監督でクレジットされている山本淳一さんが1999年に作った同タイトルの中編をリメイクする企画だったので。
Q:山口さんが監督もすることになった時点では、ネクロボーグの造形はほぼ固まっていたのですか?
西村:使っているのはそれ以前に撮影されたものとほとんど同じです。ただ、すごく作り足しています。
山口:いざ自分が監督することになったらやりたいことがどんどん膨らんできて。ただでさえ撮影日数をオーバーしていたのに西村さんをはじめスタッフのみんなには迷惑をかけてしまったんですけど、これをやったらいいものになるという意志にキャスト含め全員が賛同してくれて。逆に「ヘボいものを作ってしまったらヤバい!」というプレッシャーはありましたけどね(笑)。
<スプラッタ・ブーム、ついに到来!?>
Q:主人公がネクロボーグに侵食されていく造形や工場地帯のサイバーパンク的な都市風景には『鉄男』(1989)的なイメージを感じたのですが。
山口:出た!
僕らは全く意識してなかったんですけど、『鉄男』との関係については特に海外で散々聞かれました。
西村:必ず聞かれましたね。
山口:『鉄男』は好きなんですけど、あまりにも聞かれるので最後のほうは「嫌いです」と言ってました(笑)。同じように体が変形して殺人を犯す映画ではあるけれど、『鉄男』は僕から見たらどちらかというとアートフィルムに近いんですよ。でも僕らが目指したのはあくまでもエンターテインメントなので手法は全く違うんです。
西村:こういう映画は珍しいと思うんですよ。『鉄男』と言っても、随分前のことですよね。にもかかわらずこれだけ『鉄男』と言われるのは、『鉄男』以降に『鉄男』みたいな映画がなかったんでしょうね。
Q:海外の映画祭での反応はいかがでしたか?
山口:僕が行ったのはベルギーの第24回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭と、韓国の第10回プチョン国際ファンタスティック映画祭なんですけど、ベルギーは世界のファンタスティック映画祭の中でも特にうるさくて有名なんです。でも『MEATBALL
MACHINE』を上映したときはスプラッタ描写のところで拍手や歓声があがったりして、こんなに反応があるんだったら作ってよかったなと思うぐらい感動しました。逆に韓国は西村さんと一緒だったんですけど、静かでしたね。
西村:静かでしたね。やっぱり儒教の国でもあるからじゃないですかね。
Q:韓国内ではスプラッタ映画そのものが作られていないのでしょうか?
山口:スプラッタ映画自体を観る層がほとんどいないらしいです。ただ、違う形でスプラッタ描写をやっている人はいるじゃないですか、『オールド・ボーイ』(2003)みたいな。
Q:日本映画でもスプラッタというジャンルはあまり確立されていないですよね。
山口:日本ではスプラッタを全面に出すと引いてしまう人が多いんです。僕らの世代は中学・高校時代にホラー・ブームがあって、アメリカでは今その世代がちょうど映画を撮り始めていてスプラッタ・ブームが始まりつつあるんですけど、日本では全く紹介されていないんですね。『MEATBALL
MACHINE』と同時期に『ホステル』(2005)や『デビルズ・リジェクツ』(2005)も公開されるんですけどほとんど盛り上がっていない。なぜなんだ!と考えたところ、観たい人はいるはずなんだけど、情報そのものが届かないから観に来ないんじゃないかと。そこはなんとかしたいですね。
西村:『ホステル』のラストで電車に飛び込むシーンのカット割りが『自殺サークル』と全く一緒なんですよ。この人たちもこういうのが好きなんだというのがわかって、やってるほうとしても嬉しかったですね。
Q:お二人は世代的にはほぼ同じですか?
西村:僕のほうが3つぐらい上ですけど、僕が大学生で雄大さんが高校生ぐらいだったときに東京国際ファンタスティック映画祭で同じものを観ていたという話はよくしています。
山口:いま一緒に仕事をしているスタッフの中には、同じときに同じ会場で同じ映画を観ていたという人たちがいっぱいいて、それが何の映画だったかわかんないぐらい同じ時間をすごしてたと思うんですよ。僕は中学2年からファンタに通っていたんですけど、多いときで一週間に35本ぐらい観ましたからね。今年は中止になっちゃって悲しいですけど。
西村:悲しいですよねえ。
<「顔の見える」ヒーロー>
Q:主演の高橋一生さんによると、装着しているボディスーツはそれほど重くないということだったんですが。
西村:だいたい10キロぐらいですね。素材はゴムとスポンジです。なので重くはなくても暑いですけどね(笑)。
Q:股の間から触手が出てくるところなどは『死霊のはらわた』(1983)を思い出しました。
山口:そうですね。僕らが好きな映画のテイストは色々と入っているんですけど、西村さんは血をあまり出さなかったり表現がおとなしくなると現場でいやーな顔をするんですよ(笑)。僕は西村さんに負けないように、西村さんのテンションを上げていくことを心がけました。
Q:スプラッタであると同時に主人公が自分の殻を破って外に出て行く人間ドラマでもあるわけですが、作品の解釈的なことはネクロボーグの造形には反映されていますか?
山口:オリジナルのものよりは肉感的になってるんですよね。
西村:ああ、そうですね。オリジナルはもうちょっとメカっぽいんですよ。
山口:海外の取材で言われて気づいたのは「顔が出ている」ということ。たとえばアメコミのヒーローものはだいたい顔が隠れてるんですよね。こっちとしては特に意識してやったことではないんですけど、体の変形後も感情表現をしていくのは意図してやっていたので。一番わかりやすいのは「ロボコップ」で、最初は顔が隠れているけど自我が目覚めてきてからは外れて、そのまま最後までいっちゃうでしょ? その意味が改めてよくわかりましたね。
西村:顔が出てると大変ですけどね、役者は特に。だって吹き替えないですもん、全部。アクションも吹き替えなしですからね。
<特殊メイクの過去と未来>
Q:最初に影響を受けたスプラッタ映画をひとつ挙げるとしたら?
山口:映画制作自体に興味を持ったのが『死霊のはらわた』だったんですけど、それかな。
西村:僕は何だろう? 小学生のとき夏休みの昼間にやってた『悪魔のいけにえ』(1974)かな。あと小さい頃はテレビが一台しかないのに弟がこわがって泣くから観せてもらえなかった『溶解人間』(1977)というのがありましたね。観たいけど観られないから自分で作る、という。
山口:僕も特殊メイクは観るのも好きでしたよ。ここはメイクしてるなーとか、ここはダミーヘッドだな、とか、カットごとに見極めるのが面白くて。最近はCGばかりの映画が多いからそういう見方ができないのはつまらないよね、という話はよくしています。
西村:僕が中学生のときに特殊メイクの過渡期があって、『遊星からの物体X』(1982)や『狼男アメリカン』(1981)の頃から特殊メイクが面白くなってきたんです。
山口:あの頃は特殊メイクアーティストもチラシやポスターに大きく名前が出て売りになってた時代だったからね。
Q:今だとそれが「特殊メイクをやりたい」ではなく「CGをやりたい」という方向にいくんでしょうか?
山口:でもCGがある程度すごいところまできちゃったじゃないですか。僕らはアナログから入ったけど、CGから入った人は逆にアナログに帰っていくんじゃないかと。CGだと何でもできちゃうから、実際にやってみようということになってくるかも。
西村:実際にあるものの補佐としてCGが使われるのはすごくいいと思いますね。つくり物があった上で、できなかったところをCGで補うようになっていくと思いますね。
山口:アナログの良さでいうと、実際に装着することで暑さや苦しさや不自由さがそのまま芝居に出てくるのがよかった、と(高橋)一生くんが言ってましたね。血糊も合成なしですから。
Q:特殊メイクに演出的な効果もあった、と。
山口:ただ、血はすごくいっぱい出てるんだけど、下が土なのでしみ込んじゃって残らないんですよね。西村さんとも、あれだけ血が出てるのに血まみれな感じが僕ら的には足りない気がしているのはきっとそのせいだろうと話していて。あれで地面がタイルやコンクリートだったらもっとスプラッタな感じが出ていたと思う。『ブレインデッド』(1992)は溜まってますもんね、そこは反省ですね。
西村:今でもやり過ぎだけどさらにトゥーマッチな感じに。
Q:でもやり過ぎると逆に印象が薄れてしまうのでは?
山口:……そうかなあ。
<目指すはフルーツ・スプラッタ〜エンタテインメントとしてのスプラッタ映画>
Q:Jホラーのように、日本映画でスプラッタというジャンルを開拓していくとしたら何を売りにしたらよいでしょうか?
山口:何でしょうねえ? 日本映画でもスプラッタものはあることはあるんだけど、ものすごく陰惨な方向にいっていて、ショーとして楽しめるのがあまりないんですよ。
西村:そうなんですよ、気持ち悪いんですよ!
山口:監禁してバラバラにしたりとか……でも僕らが観たいのもやりたいのもそういうのじゃないんです。もっと血しぶきが果汁に見えるような……オレンジを絞ったときにパッと飛び散るような。
西村:トロピカーナですよ!
山口:果汁100%みたいな血糊の映画を観たいんです。今はスプラッタという呼び方しかないからそう言ってしまっているけれど、イメージ的にはフルーツ・スプラッタとか(笑)。
西村:今回もそういうことはやっているつもりです。楽しかったのは冒頭の頭が割れるところとか、目が潰れるところとか……オープニングの5分間は僕は何回観ても好きなんですよ。あとラストの血の中で告白するシーンは現場で涙が出ました。まさに、血も涙も出ました!
山口:高橋一生くん演じる主人公の思いが相手の彼女に伝わるためにはあの血の量が必要だと思ってたから。あれだけ血が出てて、あれだけ長い時間を闘って、やられても戻ってくるしつこさがないと気持ちが伝わらないと思ってやってたから。
Q:感情は形にしないと見えませんからね。
山口:そうそう、それをビジュアルでやりたかっただけで。そうすれば意志も伝わるし血も出る! むやみやたらに陰惨なスプラッタがやりたいわけじゃないです。今後もそうですね。要は、エンターテインメントとして楽しむつもりがあるかどうかということなんですよ。
Q:最後に映画監督や特殊メイクを目指している方々に向けて心得などを。
西村:『MEATBALL MACHINE』は打ち合わせから完成までほぼ1年かかってるんですよ。それは納得いくまで妥協せずにやったからで、その結果は誰もが納得いくものになったと思うんです。それは自主映画だったら絶対できると思うし、予算がなくてもスタッフのやる気さえあれば可能なはずなので、それを心がけて欲しいですね。やればやるほど映像的には濃くなりますから。
山口:『VERSUS』のときも自主映画でノーギャラだし公開の保証もないのに何度も撮り直していて、こんなのは一生に一度だろうと思いながらやってたらもう一回やることになった(笑)。またこういうふうに熱意だけで突っ走ることがあるかもしれないけどそれは大事なことで。映画を作ったあとにできなかったことの言い訳は山ほどできるけど、できあがったものがすべてだから。これがやりたいという熱意が明確にあれば人はきっとついてきてくれるし、やれるんだということ。言えるとしたらそれぐらいかな。
プロフィール:山口雄大(左)
1971年まれ。インディーズ時代から注目され、満を持した長編デビュー作『地獄甲子園』(02年)がゆうばり国際ファンタスティック映画祭ヤング・コンペ部門グランプリを受賞。続く『漫☆画太郎SHOW ババアゾーン(他)』(04年)、『魁!!クロマティ高校THE★MOVIE』(05年)でもその手腕を発揮し、“実写化不可能を可能にするコメディ監督”の名を不動のものに。その他の代表作に『穴〜怪奇穴人間』(04年)、『楳図かずお恐怖劇場〜プレゼント』(05年)、TVドラマ『怪奇大家族』(04年)など。NIKEのWEB限定ショートフィルムでは、オリジナルキャラクター「KATSU-KUN」と名立たるアスリートの競演を演出し、話題に。コメディ、ホラー、TVドラマ、映画、CMとジャンルを問わず、マルチな才能を見せつけている。
西村喜廣(右)
1967年生まれ。映像にこだわり撮影、照明、美術、特殊メイク・造形などすべて独学で学ぶ。あえてハリウッドにこだわらず下町浅草を拠点とし日本映画のスタイルを重視した活動を続ける。その結果、特殊メイク・特殊造形だけをやっていたら日本ではおもしろいことが出来ないと開眼し、残酷効果なる新分野を開発、ホラー映画やスプラッターにはかかせない人体破壊を特殊造形技術と併用した効果を究める。映画『自殺サークル』や『MEATBALL
MACHINE』では海外評価も高く、海外で西村喜廣ファンサイトも作られている。
「有限会社 西村映造」公式HP http://www.nishi-eizo.com/
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